インフルエンザで二日ほど沈んでいた。 思考が完全に止まり、ただ横たわるしかない時間。 ようやく頭が動き始めたと思ったら、今度は額の前面がズキズキと痛む。 眉間の奥が重く、前頭部に薄い圧がかかるような感覚が続いている。
これは僕だけの特殊な症状ではなく、インフルエンザの回復過程でよく起きるらしい。
■ インフルエンザは脳に侵入するわけじゃない
インフルは呼吸器のウイルスで、筋肉や脳に直接入り込むわけではない。 でも、症状は全身に広がる。 その理由は、身体がウイルスと戦うときに放出するサイトカインやプロスタグランジンといった炎症物質だ。
これらが血管を拡張し、周囲の神経を刺激する。 その結果、額・眉間・目の奥に痛みが出る。
僕が感じている「額の前面が痛む」感覚は、まさにこの炎症反応の名残だ。
■ 額の痛みが強く出る理由
インフルの後半で前頭部が痛むのは、いくつかの要因が重なるからだ。
- 免疫反応で血管が敏感になる
- 発熱による脱水で血流が乱れる
- 寝込んでいたことで筋肉や血管が固まる
- 目の奥の神経が炎症の影響を受けやすい
夫は足の筋肉がだるくなっていたし、僕は頭痛が取れない。 同じウイルスでも、炎症が出る場所は人によって違う。
■ 思考の再起動と痛みの重なり
僕は抽象思考が戻り始めると、前頭葉が一気に活動を再開する。 そのタイミングで炎症の名残が残っていると、 「思考の立ち上がり」と「痛みのノイズ」が重なる。
額の痛みは、脳が帰還してくる途中で生じる摩擦のようなものだ。
インフルで沈んでいた思考が戻り始めるとき、 身体のほうはまだ戦いの後処理をしている。 そのズレが、こうした前面の痛みとして現れる。
■ 再抽象──この痛みが示すもの
額の痛みは不快だけれど、 僕にとっては「回復の途中で通る道」でもある。
身体が戦いを終え、 脳がゆっくりと深淵から浮上してくるとき、 その境界面で生じるノイズ。
インフルエンザはただの風邪ではなく、 身体と認知の両方に影響を与える。 そのことを改めて思い知らされた。
■ 最後に
インフルエンザは本当にしんどい。 僕のように額が痛む人もいれば、夫のように筋肉がだるくなる人もいる。 症状の出方は人それぞれだけれど、どれも身体が戦っている証拠だ。
どうか皆さんも気をつけて。 そして、もし同じように額が痛む人がいたら、 それは回復の途中でよくある現象だから、安心してほしい。
