「既婚なのに女性が好きなのはおかしいのかな?」 「既婚ビアンってどういう意味?」 「旦那との関係はどうすればいい?」
結婚してから女性への気持ちに気づく人は少なくない。 けれど、ネット上の情報はアダルト寄りだったり、恋愛の話に偏っていたりして、 “ノンアダルトでアイデンティティとしての既婚ビアン”を語る場所はほとんどない。
僕は26年前、自分のために「既婚ビアン」という言葉を造った。 異性婚をしているレズビアン。 夫婦関係を続けながら、女性に惹かれる自分を否定しない生き方。 その揺らぎや葛藤、気づきのタイミング、罪悪感との向き合い方は、誰かにとって必要な情報かもしれない。
この記事では、 既婚ビアンのリアルな悩み・アイデンティティの揺らぎ・ノンアダルトな女性への惹かれ方 を、僕自身の体験と心理学的視点から丁寧にまとめていく。
1. 導入:既婚ビアンという言葉の揺らぎ
僕は長い間「既婚ビアン」という言葉を名乗っている。 約26年前に自分で造った言葉だ。 でも、この言葉は本当に説明しづらい。
「女性が好きなのはわかった。じゃあ旦那は?」 この質問は、たぶん誰もが抱く当然の疑問だと思う。 でも僕にとっては、そこは別なんだよ。 そう言っても理解されないのは当たり前だとも思う。
女性に惹かれる感覚はノンアダルト。 身体のパーツがどうこうではなくて、もっと静かで、もっと深い。 じゃあ何が好きなのかと問われると、言葉が止まる。
なんなんだろう……。 男性については嫌いなところをはっきり言えるのに、女性を好きになる理由を説明しようとすると途端に難しくなる。 恋愛というより、心の向きが自然と女性に向く。 その方向性を説明する言葉が、まだこの社会には足りていないのかもしれない。
2. 既婚ビアンのアイデンティティはなぜ揺れるのか
● 結婚制度は「異性愛を前提」に作られている
結婚という制度は異性愛を前提に作られている。 僕はそれでいいと思っているし、既婚ビアンという言葉は「異性婚をしているレズビアン」という意味で使っている。
ただ、制度の中で与えられる役割――妻、母親――そのラベルを社会から押し付けられることに、ずっと「ん?」という違和感があった。
● トランスジェンダーとは少し違う
僕の感覚はトランスジェンダーに近い部分もある。 でも「遺伝子も含めて男になれないと意味がない」と思っているから、完全に一致するわけではない。 性自認の問題というより、社会的役割の押し付けが苦手なのだと思う。
● 妻・母という役割がアイデンティティを揺らす
妻であること、母であること。 それは社会が期待する役割であって、僕のアイデンティティとは必ずしも一致しない。 旦那のことは好きだし、家族としての関係は大切にしている。 でも女性が好きという感覚は変わらない。
ここに「揺らぎ」が生まれる。
● 僕はフォルダ型恋愛
僕の恋愛感覚は「フォルダ型」だ。 AさんとBさんを同時に愛せるタイプ。 心理学的には「コンパートメント化(区分化)」と呼ばれる傾向に近い。
- 感情を複数のフォルダに分けて管理する
- それぞれのフォルダは独立していて矛盾しない
- ひとつの関係が他の関係を侵食しない
社会は恋愛を一本の線で理解しようとするけれど、僕の恋愛はフォルダでできている。 その構造を理解してもらうのは難しい。 でも僕の中では自然な形だ。
3. “気づき”のタイミングとそのリアル
僕は旦那と付き合う前から女性が好きだった。 女子高だったし、環境的にも自然だった。
10代後半から20代前半は男性が苦手だった。 臭いんだよね。若い男性独特の生臭さがダメだった。 これは個性じゃなくて、年齢特有のものだと思う。 30代くらいになると平気になったけれど。
結婚前に「自分はビアンかもしれない」と理解している人もいる。 結婚してから「あれ、自分ビアンじゃん」と気づく人もいる。 ビアンである自分を封印して覚悟して結婚する人もいる。
夫婦仲が悪い人ももちろんいるけれど、うちみたいに特に問題がない人もいる。 恋愛というより、アイデンティティなんだと僕は思っている。
僕自身は旦那と女の子の話をするしね。 それくらい自然なことなんだ。
4. 罪悪感とどう向き合うか(ノンアダルト視点)
僕は「旦那を裏切っている」という感覚はない。 これは恋愛ではなく、アイデンティティだから。
女の子が好きなのは僕自身の一部。 気に入らないなら別れればいい。 でも実際には、隠れて女性に憧れている既婚女性は多いと思う。
どちらが悪いとか良いとかではない。 それが自分の生き方なのだから、胸を張ればいい。 他人の評価なんて大した問題じゃない。 大事なのは、自分がどう生きるか。
5. 既婚ビアンが取りうる選択肢
自分がどう生きたいかをまとめれば、選択肢は自然と見えてくる。
- 夫婦関係を続ける
- カミングアウトする/しない
- パートナーシップを再定義する
- コミュニティに参加する
どれが正しいということはない。 ただ、自分の形を選べばいい。
僕は僕として生きる。 ただそれだけ。
6. ノンアダルトで語る「女性を好きになる」ということ
女性と一緒にいると癒される。 学ぶことが多い。
レズビアンはアダルトで語られがちだけれど、女性を好きになることにアダルトが絡まないことは多い。 女性は精神的なつながりを大切にするから。
僕は今の彼女とは離れているけれど、たくさん話しているから寂しくないし癒されている。 触れることだけが愛じゃない。 恋でもない。 心が触れ合えるなら、体のつながりなんてどうでもいい。
- 心の方向性
- 美しさへの憧れ
- 安心感・親密さ
- “恋愛と友情の境界線”
女性を好きになるという感覚は、静かで、深くて、神話のように言葉になりにくい。
7. まとめ:アイデンティティは“静かに育つもの”
既婚ビアン。 自分のアイデンティティに名前を付けることで、「自分はこんなタイプなんだな」と自覚できる。 それは僕にとって良いことだった。
僕が作った既婚ビアンという言葉が、誰かの生きるヒントになればいいと思う。
「既婚ビアン」という言葉は、自分を守るための傘だ。 名付けることで、生きやすくなる。 誰かの生き方のヒントになれば嬉しい。
静かに、ゆっくりと。 アイデンティティは育っていく。
