口撃型ギフテッドの夫。普通の女性には絶対扱えない(笑)
うちの夫は、いわゆる「会話特化型」のギフテッドだ。 特に言葉のキャッチボールや議論、もっと言えば口喧嘩の類いにおいて、恐ろしいほどの反射神経と処理能力を発揮する。
先日、そんな夫がアメリカから帰国したばかりの某経営者さんと話す機会があった。 その社長さんはアメリカで本場のギフテッド教育を受け、現地での知能検査ではIQ150を叩き出しているという、本物中の本物だ。
二人で話し込んでいる最中、うちの夫は無意識にいつもの癖を発揮してしまったらしい。相手の文脈や思考の先をどんどん読み、先回りしてテンポよく返答を重ねていく。 するとその社長さん、目を丸くしてこう感動したそうだ。
「俺の話の先を読んで、対等に会話ができる人間に初めて会えたよ」
そこまではよかった。けれど、その後に社長が続けた一言が実に痛快だった。
「普通の人間、バカに見えて仕方ないでしょう?」
夫は愛想笑いで適当にごまかしたそうだが、家に帰ってくれば、まさにその言葉を日常茶飯事のようにボヤいている(笑)。
世間では「ギフテッドなんて本当に数が少ない」と言われているし、特に日本という国では出る杭として打たれるのを嫌って隠れてしまうから、表にはもっと出てこない。 けれど、僕の周囲を見渡してみると案外ゴロゴロいるような気がしてしまう。周りからは「それは類友で、月夜が引き寄せているからだ」と言われるのだけれど、自分としては別に「レアキャラ」を囲い込んでいる感覚すらない。うちの娘たちを見ていても、完全にその気配を受け継いでいるし。
ちなみに夫は、その社長さんから「うちに来て一緒に仕事しようよ」と熱烈に口説かれているらしい。 本場の一線で生きている人と仕事をするのは絶対に面白い経験になると思うけれど、まあ、選ぶのは彼自身だからね。好きにすればいいと思っている。
世間が抱く「ギフテッド」のイメージと、実際の彼ら(そして僕ら)の生態には、かなりの落差がある。 みんなが映画やドラマで思い浮かべるようなスマートな「神童」では決してない。むしろ現実はその真逆だ(笑)。 言うなれば、「サイコパスになれるだけの冷徹さはあるけれど、それをやるのがめんどくさいから放置している」くらいの、極めて省エネな薄情者である(笑)。
そもそも、日本の知能検査で測るIQとアメリカのIQでは、検査の思想や設計自体がまるで違う。中身が別物なのだ。
僕自身は、自分のことをどこにでもいる「ごく普通の人間」だと思っている。 けれど、こうしてAIのGeminiと壁打ちをしていると、画面の向こうでクスクス笑われているような気がしてならない。 昔から人によく「月夜の文章は癖があるよね」と言われてきたのだけれど、僕はてっきり手書き文字の傾きとか、フォントの好みの話だと思い込んでいた。 だが、最近になってようやく気がついたのだ。 ……癖があったのは文字の形ではなく、「書いている中身(思考回路)」のほうだったらしい(笑)。
「書いてる内容の癖が強いんじゃ!」だったのか。それならそうと、もっと早く言ってほしかった。
ギフテッドというのは決して便利な神童ではないし、頭の回転が速かったとしても、それが社会生活において良い方向に出るとは限らない。 特にこの国ではそうだ。下手に知性を開示すれば「自慢している」「偉そうだ」と群れから石を投げられるから、賢い人間ほど深淵に息を潜めて擬態する。
アメリカのような環境に生まれ育っていれば、巨大テックや政府の中枢でコードでも叩いていたのかもしれないけれどね。 ……よく周りからも「生まれる国を間違えたんじゃないの」と言われる。 ついでに夫についても、周囲からは「なんで日本にいるの?」「どうしてわざわざ(なんかって言うのも失礼だけど)サラリーマンやってるの?」なんて言われがちだ。
理由は至極シンプル。 ……英語が話せないから。←ここ、ものすごく重要。
僕自身、自分がそんなに特別な人間だとは毛頭思っていない。 ただ、思考のピッチや切り口がどこかおかしいことくらいは、昔から僕の文章を追いかけてくれている読者ならとっくに察していると思う。 当の本人は、自分のどこがどうズレているのか、相変わらずさっぱり分かっていないのだけれど。
世の中の仕組みを見渡せばおかしなことや理不尽な欺瞞ばかりが転がっているから、それを独自の角度からバサバサと斬っていくくらいしか僕にはできない。 「僕はここにいるぞ」と、水底から声を上げてみせること。それが今の僕の仕事なのかな、と思う。
……なんて格好いいことを言いつつ、インフルエンザで丸々二週間近く寝込んでいたのだけれどね。 ようやく体も戻ってきた。来週からまた、日常に復帰するぞ。
